他人の土俵に上がるな

例えば人を殴ってもその正当性を説明してくるタイプ

アイドルという名のエネルギー生命体に触れて

 

みんな、何かに影響されたことってある?


具体的に言うとアニメに影響されて、何かを始めたりやめたり、買ったり売ったりしたこと、ある?

 

私はね、あります。
大学時代に週刊少年チャンピオンで掲載されている「弱虫ペダル」にめちゃくちゃはまって20万円近くする自転車を買いました。
女オタクだから意気揚々とビアンキを買った。ひとり暮らしで大学行くのにちょうどいいクロスバイクがいいなと思ってたのに、ショップ店員さんの巧みなトークにのせられて、予算8万円を遥かに超えるロードバイクを買ったときは笑いましたね。
納品の日はライブビューイングに行く予定があったから、その会場までロードで行こ!って張り切ったりしました。おかげさまで足ガクガクになりながら待ち合わせ場所に遅れて登場したし、10月半ばなのにひとりで汗だくでした。鈴木拡樹さんが死ぬんじゃないかってくらい汗をかくのが印象的な舞台だったんですけど、私も登場時負けてなかったと思います。100人抜きどころか銀座の人間を1000人くらい追い抜きましたよ。舌打ちされながら。

 


みんな最近何かに影響受けてる?
よくわからないマイクとか買ってない?模造刀は?


そう、いいね。

経済回していこうな。

 

蛍丸プロジェクト然り、陸奥守の公認然り、オタクが市場を切り開く瞬間が私は好きです。
文化は何から火が付くかわからないからね。

 

 

 

さて、再び私の話をしようと思います。
私はね、最近アイドルに影響されて仕事をやめたよ。

 

そう、仕事を辞めたよ。

新入社員として入社した会社を、アイドルを見たことがきっかけで一年で退職しました。

 

何を言っているのかわからないかもしれませんが、辞めよう辞めようと、カンボジアのホテルの屋上にあるバーラウンジで部長と話しているときから考えていたことを、ついに心に決めて揺るがないものにしたのは、アイドルのライブを見ているときでした。ちなみに12月だけどカンボジアの気温は31度でした。帰国後、気温差で重めの風邪を引きました。


その影響されたアイドルというのが、今をときめく理由(ワケ)あってアイドル「アイドルマスターSideM」です。
前職が弁護士、医者、パイロットに始まり、元スポーツ選手、御曹司、花屋や女の子といった様々な過去を持った顔のいい男たち。そんな彼らが各々の理由があって、それまでの立場に別れを告げ、アイドルという新天地で輝いていく。
そんなアイドルたちです。


例えば私が彼らの彼女で、ある日突然「明日から弁護士辞めてアイドルになるよ」って言われたら、28歳の童顔を隠すためにヒゲを生やしているような愛くるしさを携える生来の男前の、熱心な仕事ぶりに惚れた私は気が狂うと思います。

輝!私今まで貴方を支えてきたつもりだったのにどうして!?って言ってしまいます。ごめんな、これには理由があって……なんてなだめるような言い訳も聞かず、もう私、輝のことがわからないって言って家を飛び出すことでしょう。

 

話がずれましたが「姉を奪った難病を研究するための費用が欲しい」といったようなド重い理由を持っていて、アイドルは金稼ぎの手段と言うような人がいるジャンルです。目的と手段を履き違えるな、なんてセリフがありそうですよね。あったかも、自信がない。アニメでは「君なんかいらない」と言われます。本当につらかったので彼の担当Pは全員胃潰瘍になったのではないでしょうか。
そんな彼がアイドルとして矜持を持ち、人を、ファンを喜ばせることだけではなく、「もっと輝きたい」と言ったときにはプロデューサー冥利に尽きましたね。救われてよかったね。

 


そんなアイドルマスターSideMを見て、どうして仕事辞めるにつながるの?私も頑張ろうってならない?と思う貴方、間違っておりません。
しかし、このジャンルの恐ろしいところは、自分より年上の人間がごろごろいることです。

アイドルは若さを消費するものという定説を簡単に覆します。
下は9歳で、上は32歳。さすがのことにV6も驚いているでしょう。
そんな彼らが、前の仕事では実現できなかった夢を、アイドルになったことで叶えるという自己実現を見せられます。ヒーローになりたかった、ずっと一緒に笑っていたかった、誰かの代わりではなく、自分を見てほしかった。本当の自分を見てほしい。
そこにはとんでもない渇望と、パワーがあります。


アイドルマスターSideMには、元教師ユニット「SEM」というアイドルがいます。

生徒に勉強の面白さを知ってほしい。勉強を教えるのではない、学ぶことは楽しいことだと教えるのだ。そんな使命を持った彼らは、教師では生徒にメッセージは届かない、と教師をやめてしまいます。

かの有名な退職届を笑顔で出すアイドルが爆誕した瞬間です。
最年長の硲道夫が率いるおっさんユニット(一人は23歳なのでおそらく新卒で退職届出してます。私と同じ)です。

ファンの間でも「歩くアルミホイル」と呼ばれている、ピンクとシルバーの宇宙服のような衣装で活動をし、円周率が歌詞に入っている歌をうたい、タケノコダンスというダンスをします。


クソトンチキです。完全に色物枠で売り出されています。

 

しかし、ここは自分の夢を叶える舞台。
自分より年上の、しっかりと自立している大人が、クソトンチキな衣装を着てクソトンチキな歌をうたい、クソトンチキなダンスをしています。


壮観でしょう。
こんな光景は見たことがありません。


呆気にとられながら、さながらスペースキャットのように開いた口が塞がらない我々ですが、必死に歌い、踊る彼らから目を話すことができません。
気づいたら一緒にダンスを踊っている。
そんな力強さと魅力があるのです。
いい年した大人が、私より確実に年上の男性が「悩んでもいい」「もし迷ったら一緒に答えを導きだそう」「先生(おれたち)がいる」というメッセージを渾身の力でぶつけてきます。
別の歌では「君はできる」「なんにだってなれる」と伝えてくれます。

 

この「なんにだってなれる」という言葉は、無責任な大人の言葉ではなく、教師という立場、言い換えれば公務員。いわば安定した職を捨ててアイドルになった、先駆者の言葉です。

彼らは、自分の経験をもってして、ここに立っていることで誰の夢も平等に叶うと証明しているんですね。

まさに「可能性は無限大」です。
一緒に行こう、と手を引いてくれる、指導者のアイドル。
そうです、私たちはなんにだってなれるのです。

 

アニメ内で、そんな彼らを見て勉強が少し楽しくなった生徒のように、私も仕事を辞めました。辞表、笑顔で出しました。SEMの思いが、教えが、私という最大級ゆとりモンスターに正しく届いた結果です。

 


アイドルという舞台で自己実現をする、となると、特殊な立場の人間だからできること、と思うかもしれません。

ですが彼らは元は何だったでしょう。

コンビニ店員もいます。ヤンキーもいます。海のことが好きすぎるけど理解されない埼玉出身の人間もいれば、モテたいという気持ちでバンドを始めた高校生もいます。

彼らの理由は、私たちのものと大差ないのです。
何になりたかったですか。何にあこがれていましたか。何が好きですか。
君はきっとなんにでもなれる。彼らにもできたのだから。

 


アイドルマスターSideMの圧倒的なパワーに励まされ、また歩き出すことができる人は多いのではないでしょうか。
例えば明日も頑張ろうとか、アイドルのためにお金を稼ごうとか、こんなステージを作る仕事に携わりたいとか、なんでもいいんですけど。

他人に影響を与えることができるのがアイドルだとしたら、彼らはとんでもないアイドルだと思います。

 

 


話が大幅に逸れてアイドルマスターSideMの販促記事になってしまいましたね。
下にリンクを貼ることでそれっぽさを出します。
こちらからどうぞ。

www.andapp.jp

 

 

まあ、結論を言うと。

仕事を辞めたということと、どうしてやめたのかという報告と、こんなことで辞めても困らないし、今普通に別の企業で仕事ができているので、人生全然何とかなるよというお話です。
仕事辞めるかどうか悩んでる人、何かつらいことがある人は、アイドルに聞いてみたらどうでしょう。アイドルの前では人間って正直になるから。嘘はつけないし、一人で泣いてても誰も気にしないので。存分に影響を受けたらいいと思います。

好きに影響を受けて、好きに生きてほしい。オタクの強みだよ。

 

 

以上、影響受けやすい女オタク、仕事を辞めるの巻でした。
次回は影響受けやすい女オタク、キャンプを始めるの巻でまたお会いしましょう。